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〈第6回〉 ”愛でる””慈しむ””育む”植木のちから

樹木に囲まれて安らぎをもたらす喫茶店、お食事処


  先月号では、夏の日差しを和らげ気温を下げる効果や、火災の延焼を防いだ話、二酸化炭素を吸収する話をしました。植木のちからってすごいですよね。
この他にも、フィトンチッドやマイナスイオン、園芸セラピー、本来の花や新緑や紅葉を観賞することによる癒やし効果など……、植物には様々な力があります。その中でも今回は、「縁起」としての植木のちからをご紹介します。
昔から「縁起木」といれている植木が数多くあります。南天は「難を転じる」、ニシキギは「錦をかざる木」等々。これらは、本来その樹木が持つ名前の語呂に、そうあって欲しい願いや気持ちを託し、縁起木となったものが多いようです。
昔から言い伝えられる迷信は統計的なものが多く、それらを反映した家相や風水の分野でも、植木が気運を高める役割をしています。
地方によって植える樹種は異なりますが、家の中心から見た東北の方角(表鬼門)と南西の方角(裏鬼門)だけは、しっかり植木を植えておいたほうが良いとか……。風水でも難しいといわれる水回り(台所、風呂、便所など)の方位が悪い場合、植木を配置すると緩和されるからではないでしょうか。
風水でよくいわれる「玄関に黄色い置物を置くと金運がよくなる」や「東に玄関を作る」は、玄関はよほど明るい電灯をつけないと本来暗いものですが、黄色という暖色感も含んだ明るさがあると、光の反射効果によって明るく見えるため、良いとされているようです。
心地よい空間には来客が多くなり、人が集まる所には良いことも集まってくるという好循環が生まれるというわけです。 同じことが植木にも当てはまります。皆さんの周りで植木がたくさんあるお店って、繁盛していませんか?
私の住む九州には、全国的に有名な黒川温泉郷があります。たくさんの「緑」に囲まれたお風呂があります。ゆったりとした時間、寛ぎ、癒やしを求め、多くの方で賑わっています。より身近なスーパー銭湯や飲食店でも、たくさん植木を植えて癒やしスポットとなって賑わっている所が増えてきました。
ただ、このような植木の効果や恩恵を受けるためには、適切な管理が不可欠です。大変かもしれませんが、ぜひ植木を可愛がってくださいね。
私たち全国500名以上の日本植木協会会員の畑では、毎年6千万本の植木が育てられています。人間1人320キログラム/年のCO2排出量といわれているなか、会員の生産樹木で、毎年約1万人分のCO2を吸収している計算です。近年、温暖化や度重なる自然災害など、生活環境は年々厳しくなっています。自動車や工場などの排出ガス規制、環境リサイクルの充実など、盛んに行われていますが、肝心の新鮮な空気を生みだす緑地は減少しています。1人1人が植物を育てることは未来の子供たちに酸素をプレゼントすることと同じです。毛虫や落ち葉などで植木を嫌がる方もいますが、酸素を生みだす長所から見れば小さなことではないでしょうか?
私たちは、緑花木を ”愛(め)でる” ”慈(いつく)しむ” ”育(はぐく)む” 気持ちで、生産・流通販売を通じて生活環境改善のお役に立ちたいと考えています。

(有)久留米樹芸〈福岡県〉 牛嶋章博


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