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〈第2回〉 植木はどう作る?〜増殖技術〜

種蒔き(実生)による増殖。畑で一斉に芽吹いたエゾヤマザクラ
組織培養による桜品種の増殖。植物のごく一部から増やすため、母樹の負担が少ないのが利点
 私たち日本植木協会を英語で書くと「Japan Nurserymen's Association」となります。Nursery(ナーセリー)とは、英和辞書などを引くと「保育園」とか「託児所」という意味です。
Nurseryman で「植木屋さん」となります。植木屋さんが、みどりの生まれるところ、育むところといわれる由縁です。面白いですね。では、その「植木屋」が、大切な商品である「植木」をどのように育み、増やしているのかをご紹介します。
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実際、「植木」はどのように増やしていくのでしょうか?
現在「植木」の増殖技術は、大きく分けて4つの方法があります。
,泙=実生(みしょう)
∩泙渓
接ぎ木
ち反デ殕
イ和舂未冒やす時や親となる植木と違う形質(葉っぱや花の色など)をとりたい時に用いられる増やし方です。↓い録討箸覆訖¬擇侶措舛鯤櫃舛燭せに用いられます。一般的に□い砲覆襪曚氷眦戮糞蚕僂篁楡澆必要になってきます。
種(たね)まきは少量ならプラスチックトレイに、大量なら畑にじかに蒔きます。北海道の私たちの畑では、4月も下旬になると100万本以上の「植木」の子供たちが産声を上げます。この芽吹きの時期は、「植木屋」をやっていて最も忙しく、最も充実感を感じられる季節です。何しろ次々と新しい命が生まれるのですから。
種まきは季節、天候に多くを委ねた技術のように思われますが、種を同時に芽吹かせる方法、芽吹いた小さな苗木を丈夫に育てる方法は案外難しいこと。その土地の天候、植木の特性を知りつくした「植木屋さん」の腕の見せどころでもあるのです。
挿し木、接ぎ木、組織培養は、ビニールハウスなど人為的にコントロールされた場所でおこないます。親となる「植木」の形質を保つために使われる増やし方です。作業のタイミングや「植木」の種類によってできるものできないものがあり、これも「植木屋さん」の長い経験と技術によっておこなわれます。近年これらの方法による「植木」の増やし方は、思い入れのある木を残したいという要望のために使われるこ とも多くなってきました。寺社にある古木や小学校の校庭の桜やイチョウなど、その土地に住む人が何代にもわたって慣れ親しんだ木を後世に残していきたいといった思いです。
最近では、陸前高田市の津波の被害を受けた「奇跡の一本松」の後継樹が、種と接ぎ木で生育中という話題がありました。この話題は、「奇跡の一本松」の枯死といった悲しい知らせに一つの希望の光を当ててくれました。
また、組織培養による方法は、植物のごく一部から増やすことができるので、親となる木にあまり負担をかけないという利点があり、絶滅の危険にあるような木を増やすことにも利用されています。
樹木の寿命は、人間のそれをはるかに超えるものです。「植木屋」という仕事は、そのはじまりから立ち会えることがその醍醐味の一つともいえます。また、その「生み育てる」技術の応用が樹木の命を後世につなぐだけでなく、人々の思いをつなぐ一助になれる、そのように感じています。

(有)大坂林業〈北海道〉 松村幹了